logo.png

キャスタリア株式会社は“教育×ITで社会問題を解決する”をモットーに、 新たな学びを創出する企業です。

モバイルラーニングプラットフォーム「Goocus」を開発し企業や教育機関に提供しています。 また長野県を中心に教育事業を行う学校法人 信学会とともに、 日本初のプログラミング(コード)を必修科目とした広域通信制高校「コードアカデミー高等学校」の運営にも携わっています。

未来のノーベル賞受賞者を育てる好奇心を掻き立てるローレンス科学館(カリフォルニア州バークレー)

未来のノーベル賞受賞者を育てる好奇心を掻き立てるローレンス科学館(カリフォルニア州バークレー)

カリフォルニア州の州立大学として知られるカリフォルニア大学は、ロサンゼルス校、いわゆるUCLAが1番有名かもしれませんが、本拠地はサンフランシスコ近郊の都市、バークレーにあるUCバークレーです。

ジャーナリズムでは東のコロンビア大学と双璧を成しますし、情報技術やスポーツでは車で南に1時間ほど行ったところにあるスタンフォード大学と熾烈な争いを繰り広げています。また、米国の反戦運動、学生運動のきっかけとなり、「フリースピーチ」という言葉が残るように非常にリベラルな校風が、バークレーの街全体にも染み付いているほどです。

そんな世界的な最高学府の1つとして数えられるUCバークレーの敷地は、バークレーの中心部から東にそびえ立つ丘の上までに及びますが、その丘の上に科学館があり、地元のみならず、サンフランシスコ・ベイエリア都市圏一円から毎日のようにスクールバスが押し寄せるランドマークになっています。 「Lawrence Hall of Science」、ローレンス科学博物館といわれるこの場所には、子供が持った好奇心を体験で満たす、そんな工夫で溢れていました。

iOS の画像 (4).jpg

3元素のTシャツ

ローレンス科学博物館には、お土産として人気のあるオフィシャルTシャツがあります。そこには「Lr」「Bk」「Cf」の3つの元素記号が書かれています。これらはいずれもUCバークレーで発見された元素で、それぞれローレニウム、バークリウム、カリフォルニウムと名付けられています。

ローレニウムや科学館の名前にもなっている「ローレンス」とは、ノーベル賞を受賞した物理学者アーネスト・ローレンス氏のこと。イェール大学からカリフォルニア大学に移り、サイクロトロンという加速器を発明、前述の人工放射性元素の合成も彼の指揮する研究所で行われました。

日本に原子爆弾が落とされる結果となった米国のマンハッタン計画にも参加していたことで知られている一方で、戦後GHQが破壊した日本の理化学研究所や京都大学のサイクロトロンの修復や、核軍縮にも尽力してきました。ローレニウムの元素の名は、同氏の死後につけられています。

カリフォルニア大学には、「NL」という駐車スポットがキャンパス内にいくつもあります。これはノーベル賞受賞者がクルマを停めて良いという枠で、そんなにたくさん用意しなければならないのか、と驚くほどですが、実際にノーベル賞のメダルが見られたのは、ローレンス科学館のロビーだけでした。

物理学の伝統深いバークレーを記念したTシャツは、日本人からすると複雑ではありますが、ローレンス科学館からは、物理学をはじめとする科学への好奇心を、いかに平和的に伝えるか、という信念すら感じる一面も受け取ることができるのです。

恐竜の化石、地質から、ロボットまで

iOS の画像 (5).jpg

科学館というだけあって、様々な分野をカバーしている点が特徴です。しかも、どれも博物館が考えて、あるいは手作りで銃器を作り、科学実験を気軽に試すことができるようになっている点も、非常に興味深い点です。

例えば水の流れや浸食を学習する教材は、バークレーからサンフランシスコ一円を見渡すことができる屋外広場に用意されており、コンクリートで固められた斜面を上から下に水が循環しており、そこに土や砂利を持って水を堰き止め、水が土砂を押し流していく様子を実験することができます。

また、噴水と池には水を堰き止めることができる仕組みが備わっており、どうやったら水を有効活用できるのかを学ぶことができます。

地階に降りてみると、そこは生物の宝庫です。恐竜の化石や昆虫類、亀、ヘビ、ウサギ、カエルなど、様々な種類の動物が飼育されており、動物に触れて生態を確かめることができるワークショップを毎日開催しています。

そして肝心の物理では、ボールを転がして運動エネルギーを確かめたり、空気の圧力を使ってより対空時間が長いパラシュートを工作するコーナーが用意されていたり、とにかく自分の創意工夫で物理的な結果を変える、そんな体験が用意されているのです。

そうした常設展時の他に企画展も多数用意されており、筆者が訪れたときには、John Payne氏制作の鉄で作られた巨大な恐竜の彫刻が設置されており、人力、磁力、モーターなど様々な運動エネルギーを使って恐竜を動かすことができる展示が行われていました。

その「動く恐竜の巨大彫刻」の脇では、小さなモーターやスポンジ、プロペラを使って、自分で設計するロボットをいかに円滑に動かすか、というワークショップが行われていました。こうして、好奇心を連鎖させ、体験で繋ぎ、物理の法則を会得する、そんな巧妙かつかつ興奮に値する展示が提供されているのです。

親がハッとさせられるのは、「学びと時間」

iOS の画像 (3).jpg

ローレンス科学博物館は、子供が夢中になって科学にのめり込む場所であると同時に、それについて行って一緒に興奮して楽しむ大人は、あるときハッとさせられます。

そこには、子供たちが自分のペースで工夫を楽しみ、じっくりと理解していく様子があるからです。

授業や教材のように、時間の流れが設計されている現代の学習とは異なり、親たちは「待つこと」を期待されるのです。そして待てずに手助けしてしまうと、親が子供の理解の可能性を潰したことになり、後々後悔することになるのです。

子供たちが自分の興味を好奇心に変え、満たす場、ローレンス科学館。親はたっぷりと時間を与えることができるのかが試されています。毎年サマースクールも開催されています。来年の夏、訪れてみてはいかがでしょうか。

人間の揺らぎを描く作家、「かっこよさ」を論じる ――平野啓一郎『「カッコいい」とは何か』レビュー①

人間の揺らぎを描く作家、「かっこよさ」を論じる ――平野啓一郎『「カッコいい」とは何か』レビュー①

わからないことほど素晴らしい経験はない(後編)

わからないことほど素晴らしい経験はない(後編)