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キャスタリア株式会社は“教育×ITで社会問題を解決する”をモットーに、 新たな学びを創出する企業です。

モバイルラーニングプラットフォーム「Goocus」を開発し企業や教育機関に提供しています。 また長野県を中心に教育事業を行う学校法人 信学会とともに、 日本初のプログラミング(コード)を必修科目とした広域通信制高校「コードアカデミー高等学校」の運営にも携わっています。

コンピューティングの未来について、Appleが考えていること

コンピューティングの未来について、Appleが考えていること

キャスタリア株式会社のメディア「まなびとき」では、「テクノロジー」と「学び」という、キャスタリアの2つのテーマについて、現在と未来を読み解いていこうと考えています。

今回は、2019年6月3日から行われたAppleの開発者会議「WWDC19」で示されたコンピュータの近未来、そしてこれをベースとした学びの未来について、考えていきましょう。

WWDC19: Computing

WWDC19の発表で重視すべき内容とは?

WWDCでは毎回、iPhone・iPad、Apple Watch、Apple TV、Mac向けの新しいプラットホームに加えて、開発者向けの新しい技術が発表されます。

そうしたなかで、「まなびとき」として、今回のWWDC19で重要な発表内容をおさらいしておきましょう。

  • iOSからiPad向けの「iPadOS」が分離された
  • Siriの進化で、人工知能の助けを借りる人の効率性が大幅に向上
  • より簡単にアプリの画面をデザインできる「SwiftUI」登場
  • 拡張現実アプリで人を切り抜いて合成できるようになったARKit3

その他にも、Mac ProやProDisplay XDRといったプロ向け最高峰の製品の発表や、Apple Watch向けアプリストアの新設などもありましたが、これらは一般的なニュースや解説に譲ろうと思います。

その中で、コンピューティングの未来について、まずは考えていきましょう。

iPadPro_newyork

1000ドルの分水嶺

かつてMacBook Airに11インチモデルと13インチモデルが存在していたとき、11インチMacBook Airは日本では8万円台で販売されていました。しかしこれが廃止され、最も価格が安いMacは1000ドル以上の水準に上昇しています。

一方iPadは、9.7インチモデルから12.9インチiPad Proまで、5つのサイズ展開が整いました。最上位モデルにメモリ1TBを搭載すると、結局は15万円を超える金額になってしまい例外となりますが、概ねiPadは1000ドル以下でラインアップ展開されています。

ここで、コンピュータとしてのMacとiPadに、「1000ドルの分水嶺」を見出すことができるのです。

その上で、1000ドル以下で分布するiPadに対して、よりパソコン的な活用を可能にするiPadOSを用意したことから、今回のOS分離で「Appleは1000ドル以下のデバイスをコンピューティングの主体とする」という意思表示がなされた、と受け取ることができます。

プログラミングやプロのビデオ・グラフィックスを除く大半の領域は、MacでもiPadで同じアプリを、同じようなパフォーマンスで実現することができるようにする。これはAppleの役員が語った、MacとiPadに関する基本的な方針です。

つまり、これまでMacで行われていたコンピューティングの大部分を、iPadで実現できるようにするということです。結果的に、同じ体験を得られるようにするためのコストは、1000ドル以下になります。

WWDC19_iPadOS13

1000ドル以下の「コンピュータ」のインパクト

どんなアプリが双方に提供されるか、という問題は残りますが、iPadOSの登場によって、iPadに対する見方は、iPhone寄りだったこれまでから変わり、Mac寄りの存在へとなっていくでしょう。

すると何が起きるでしょうか。

例えば3万円台で手に入る9.7インチiPadですら、4Kビデオを手軽に編集でき、そうした性能を持つ「コンピュータ」と認識されるデバイスの価格が、一挙に1/3程度に下がることになります。

あるいは、iPad mini以上のiPadにはA12 Bionicが搭載されており、毎秒5兆回の機械学習処理が可能な能力があり、こちらも5万円前後で手に入るようになります。拡張現実だけでなく、様々シミュレーションを行ったり、機械学習処理の学習を行う際には、むしろiPadの方が適したデバイスになっていくでしょう。

WWDC19_iPadOS

求められるのは、生かすための学習環境

iPadのコンピュータとしての存在は、非常に優れた処理能力を、これまでより大幅に安い価格で広めることができるようになります。

ではこれを、どのようにして学びに生かすかに、焦点は移っていきます。

アプリを通じてiPadを学習の道具としていくことになりますが、やはり注目すべきは「機械学習を生かした学習アプリ」になります。自分の教材、学習履歴、試験の結果などをiPadの中に入れておき、これらが自律的に「次の学び」を紡ぎ出していく。そんな未来の教科書・ノートとしての学習ツールを、iPadがホストしていくことになるでしょう。

そうした処理は、できる限りiPadの中で行われるべきです。5Gなどでよりオンライン環境が身近になることも考えられますが、全てがオンラインに依存するアイディアには反対です。

例えばこの原稿を書いている10時間以上のフライト中に、用意されている者を学び終えてしまったらどうなるでしょうか。あるいは国や地域によっては、インターネットのインフラが届かない場所もあります。そうした場所での学びが進化できない、というのはあまりに前時代的なツールではないでしょうか。

くわえて、学びという非常にプライベートなデータを、簡単にサーバに持ち出すアイディアも反対です。かといって、学習履歴を改ざんできないようにしながら流通させるポータビリティを担保する必要もあります。おそらくブロックチェーンの学習履歴をiPad内で処理するような仕掛けが必要になるでしょう。

学習環境を理想的な形でアップデートしようとすると、意外なほど、手元にあるデバイスの処理性能が必要になっているのです。これに価格面、性能面で答えてくれる存在としてのiPadに大きな期待を寄せざるをえません。

キャスタリアとして、次の学習環境の実現に向けた取り組みの一つの基準となっていくと考えています。

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